のび太くんマインド:生成AIとの付き合い方

最近、娘が『ドラえもん』をよく観ています。久しぶりに観る『ドラえもん』は、各キャラクターの声も替わったものの、雰囲気やストーリー展開は昔と同じように感じます。

ChatGPTを中心に生成AIが有名になることで、ドラえもんの例をよく聞くようになりました。

例えば、チャットや音声でのおしゃべりができる人口知能という例や、ひみつ道具のように何でも叶えてくれるツールとしての例、日本人とAIの話題でも「欧米はAIに恐怖を抱くが、日本は子どもの頃からドラえもんを見ているのでAIと相性がいい」などと話題に上がります。

のび太のキャラ設定の不思議さ

ただ、久しぶりに見たドラえもんの面白さは、ドラえもんやひみつ道具よりも、主人公の”のび太”君の方にありました。あれ、こんなにダメなキャラだったっけ…?

とにかくめんどくさがりで怠け者。ひみつ道具を手にすると、調子に乗って使いすぎて大失敗。どんなアニメでも主人公に欠点はありますが、のび太くんは人の怠惰な部分をひたすら集めたような存在です。

極めて意志薄弱な怠け者。都合が悪くなると、すぐ他者(主にドラえもん)に頼る。何か困ったことに出くわすと、大抵は「ドラえも〜ん!!」と泣き叫んでドラえもんに泣き付き、彼のポケットをあてにする。しかもひどく無気力で、自分のやりたいこと以外は、やらねばならないと解っていても、進んでやろうとはしない。道具を使って頭の中身は現在のまま幼児時代に戻った時などは、「天才少年」と誉められて浮かれ、調子に乗ってそのまま何の努力もしなくなり、タイムテレビでみた未来予想では元より頭が悪くなってしまったこともあった。

極端なほどの面倒くさがり屋であり、「トイレに行きたいけれど面倒くさいからどうしよう」と尿意を我慢しながら延々と考えるほど。

昼間からでも眠くなるようで、学校から帰って疲れているからと眠り、友達と遊んでまた疲れて眠り、一日が終わる頃にがっくりして眠り、24時間の半分寝ていると言われる。寝つきは異常なほど良く、通常は横になると同時に眠りにつくことができるなど、眠ることにかけては尋常でない才能を持つ。

注意力が極めて散漫。ぼんやり道を歩いていて石につまずき、空き缶で滑って転び、足を踏み外してドブや工事現場へ転落するなどは日常茶飯事である。その上持ち前の運の悪さも重なって、ジャイアンとスネ夫にいじめられる、野良犬に襲われる、どこからともなく飛んできたボールが顔面を直撃するなど、道を歩いているだけで酷い目に遭うこともしばしばある。

大の勉強嫌いであり、自主的には予習・復習・宿題はまずしない。授業中の居眠りや遅刻、宿題忘れ、成績不振などが多いことから母の玉子や先生に叱られることがしばしばある。寝坊などで遅刻することも日常茶飯事だが、本人は寝坊を悪いと思うどころか反対に「遅刻をしても怒られない方法は」や「先生を遅刻させる方法は」「日本中の時計を止める方法は」などと無意味なことを考えるばかりで、「『どうしたら寝坊しないか』とは夢にも考えない。困ったものだ」と、作中のナレーションでも突っ込まれている。食わず嫌いで、一度できないと決めてかかると頑として努力を拒む。そのため、やればできるにもかかわらず、やる気を出さないためにできないことも多いため、自身の母である玉子や先生から長時間にわたり説教を受けることは日常茶飯事。


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Wikipedia 野比のび太 – 性格 – 短所 より一部引用

Wikipediaを覗いてみましたが、なかなかな書かれようですね。

少し引いた視点で考えると、ストーリーが進むように、のび太くんはダメキャラ設定で、ドラえもんがそれをサポートするためにひみつ道具を出すわけなので、これでいいのですが、、、なにか個人的に違和感があるわけです。

プログラマーの3大美徳

ああ、これに似ているんだ!と気がついたのは、プログラマーの3大美徳と呼ばれるもの。

  • 怠惰(Laziness)
  • 短気(Impatience)
  • 傲慢(Hubris)

プログラム言語Perl開発者のラリー・ウォールさんが提唱したもので、マイナスの印象がある言葉を逆説的に捉えています。

怠惰がだから工夫して楽をし、短気だからエラーが出ないように予め柔軟な仕様にしておき、傲慢だから人から文句をつけられないように高品質なプログラムを書く、だから、怠惰・短気・傲慢はプログラマーにとって美徳なんだ、っていう話です。

のび太くんは変わらないが、時代が変わってきた

いま、生成AIを中心に未知のツールや活用法が溢れかえっています。こんなときに大切なのは、とりあえず試してみて、何ができるかを体験しておくこと。

のび太くん風にいうと、以下のような感じです。

  • 調子に乗ってひみつ道具をすぐ使う
    • ≒ すぐ試してみる
  • ひみつ道具についての悪知恵を働かせる
    • ≒ 別の活用法を考える、ハックする、実験してみる
  • 失敗するまで使う
    • ≒ どういうふうに利用できるかわからないので、エラーが出るまで試してみる

はしゃいで、試して、何に使えるか考えて、実験して、エラーが出て、、、

それが普通のスタンスで、いろいろ触っていくのがいいんじゃないでしょうか。

私たちが学ぶべきは、実は、ドラえもんやひみつ道具からではなく、これまで短所とされていた「のび太くんのマインド」なんじゃないかって思うんですね。これを繰り返して、どこまでなら使って大丈夫で、どこからはできないのかの範囲を知っておくことが大事になってくると思います。

生成AIの時代に必要な <のび太くんマインド>

これからどんどん、未知のツールが出てきます。便利なのか、そうでないかすら使ってみないとわかりません。

2023年6月と少し古い情報ですが、ITメディアの記事によると日本での利用率はまだまだ数%ほど、とのことです。

<のび太くんマインド>の本質は、新しいテクノロジーに対する開放的な姿勢と、失敗を気にせずに試行錯誤を重ねること。

ただ待つのではなく、のび太くんのように、はしゃいで、試して、少し失敗しながらどんどん使っていくことが、これからの時代にとても大切になってくるんじゃないでしょうか。